常願寺川カヌーツーリング (2007/8/12)

じょうがんじがわ 富山県富山市
流域内人口密度 82人/平方キロ
リアルタイム水位 瓶岩 ツーリング当日は2.68m
駐車場 START 付近に数台
GOAL 付近に2台
トイレ なし
買い出し 右岸側のGOAL下流に「コンビニ?」と書いた店
温泉 亀谷温泉 白樺ハイツ(600円)
ひとこと 勾配がきつく、瀬しかないと思った方がよい。難易度は低くはない。
 
本宮砂防堰堤〜横江の堰の手前 5.1km   17.8‰
 この川はその勾配が全国一とされる川である。おそらく源流から河口までの平均勾配のことであると思われるが、漕いだ区間にしてもハンパではない。今までに漕いだ最大勾配が9‰前後なのに、今回は17.8‰。一気に倍の勾配への挑戦となる。17.8というのがどのくらいすごいかといえば、3‰で均一に勢いよく流れている5.1kmの区間内に、1mの落ち込みが76カ所含まれているという計算になる。スタート〜ゴールの標高差は実に91m。あな恐ろしや。
 水量があるときにはここで商用ラフトが営業するというのが信じがたい。

 スタートは本宮の砂防ダム下から。和田川が合流するまでの1km強は水量が乏しく、岩の間を縫うことになる。
 最初の瀬。慎重に水量と障害物を見極めつつ進路を定めて突入したが、出口で艇を横にしてしまい、バウとスターンが岩に引っかかった。状況から推して後ろ向きで瀬を抜ける方が楽と思い、動かし始めたとたんに沈。水深がなく、すぐさま脱。振り返れば、別のルートをとった松井さんも沈をする瞬間であった。後続の田畑くん・月座さんはさらに別のルートから無事瀬を抜けることに成功。
 最初の瀬ではいきなり二人が餌食になってしまった(左写真の岩場)。
 この下の瀬は2段の落ち込みで、2段目(右写真)は右から抜けた方が良さそうに見えたが、下見したところ右コースの下には岩があり、左が正解であった。どうにもトリッキーで困る。沈脱一名。

 左から和田川が合流してきた。水量は倍増したが、岩は多いままなので、相変わらず小刻みな進路変更が必要となり、全く休めない。

 上記の地図上での最初の瀬。ここには中州があり、その両脇を大きな落差を伴って水が転がり落ちている。右コースは岩が多すぎて無理。左は一直線に下っていけそうな気もするが、隠れ岩がそれを阻止している。隠れ岩の手前でさらに左へ進路変更できればベストだが、隠れ岩にぶつかっていく可能性の方が高いように思う。ここは全員ポーテージ・・・のはずだったが、ポーテージのつもりで左端に寄った田畑君は、ここからならなんとかなりそうということで、水量のないところをただ一人挑戦した。急勾配の常願寺川を、メンバー中唯一制覇したのだ。

 松木にある橋の上流側の瀬。ここは橋上から下見ができるので、事前に要チェック(左写真。マウスを重ねると俯瞰写真になりますぞ)。
 3〜4段に落ちており、実際に漕いでみると、見た目よりも結構岩が邪魔している。コースを狙うことよりもとにかく勢いで突破という感じであった。
 松井さんが沈脱したが、この時にパドルを離してしまい、みんな慌てた。沈したあたりを目を凝らしてパドルを探したが、全然見えない。下流へ流れてしまったのだろうか? すると、沈から5分後くらいに、パドルが水中からポンッと言わんばかりの勢いで飛び出してきた。月座さんの表現を借りれば、「冗談のように飛び出してきた」ということになる。何はともあれ一同胸をなで下ろす。
 あとで聞いた話では、過去にこの瀬の中に出ていた鉄骨に人が引っかかり、それを救助するためにダムの放水を止めたことがあったとのこと。うーむ。

 この騒動の頃から、周囲にアブが出始めた。沈脱後の一休みという雰囲気でもなくなってきたので早々に漕ぎだしたところ、全員をアブが取り囲んできた。パドルを振り回し、水を掛け、頭を振り、叩き潰し、いろいろ試したが、連中は怯まない。瀬の中でも腕に止まって血を吸うというしつこさである。
 ゴールが目前であったので、一路ゴールを目指し、水際から素早く離れたが、それでもアブはついてきた。全身を動かし、時には叩き潰し、じたばたしていたら、その攻撃も時間と共に収まってきた。どうやらアブのお食事時間は16:00〜17:00をコアタイムとしているようだ。アブの登場が見込まれる場合、15:30にはゴールしなければ大変なことになるかもしれないということを学習した。
 それにしてもかゆい。

 ゴール地点は、誤って私有地を通らなければならないところに設定してしまったので、実際にツーリングする際には適当な上陸ポイントを探してくださいな。

 この川の素晴らしいところは、上流の温泉の影響で魚影が薄く、漁協さえもないこと。釣り師にも遭遇しなかった。また、水質もなかなかのものであった。
 けれども、くれぐれも初心者だけでは行かないように。

 ちなみに、はじめに予定していた立山橋スタートの区間は水量がなさ過ぎて漕行不能。笑ってしまうくらい水がなかった。これは後になって気がついたのだが、立山橋の堰で取水して神通川へと流す水路(いたち川)があるのが原因。このときは常願寺川本流よりもいたち川の方が水量が圧倒的に水量が多かった。

(おわり)