釧路川カヌーツーリング 98年8月4〜10日

くしろがわ 北海道弟子屈町〜釧路町
流域内人口密度 71人/平方キロ (釧路川水系)
リアルタイム水位 標茶
駐車場 屈斜路湖 アイヌコタンや和琴半島の駐車場を利用。
摩周大橋 停めれるかも。
開運橋 停めれたはず。
細岡カヌーポート 5台くらい置けたはず。
トイレ 屈斜路湖 アイヌコタンにあり。
摩周大橋 近くにあったと思うけど・・・
開運橋 
買い出し 開運橋近くにコンビニあり。
温泉 屈斜路湖畔に数カ所。無料のものもちらほら。
弟子屈と標茶の町に数軒。
ひとこと 北海道で漕げるのは、現実的には夏期のみ。ただし、その短い夏に蚊が大量発生し、アブも人間に攻撃を仕掛けてくるため、かなり痒い思いをすることになる。
キタキツネと出会うことがあるかもしれないが、彼等はエキノコックスという寄生虫を宿しており、噛まれたりしたら大変なことになりかねない。撫でたり、手に持って餌を与えたりするのは危険だじょ。

 ツーリングパドラーならば、誰もが憧れる釧路川。私も例外ではなく、常々行きたいと思っていた。実は、丁度1年前にも3人で行く予定があったのだが、それを辞退した経緯がある。それを経て、場数も踏んだうえでのソロツーリング挑戦である。
 予定では、屈斜路湖から河口まで。1週間の日程で、半日〜1日の余裕があるはずであった。
 

一日目 岐阜→屈斜路湖

  笠松→一宮(名鉄) 290円
  一宮→名古屋空港(バス) 800?円
  名古屋空港→釧路空港(飛行機) 31000円
  釧路空港→釧路駅(バス) 910円
  釧路駅→摩周駅(電車) 1600円
  摩周駅→和琴半島(ノースイーストカヌーセンターの送迎) 3500円

 自宅から名鉄笠松駅に徒歩で向かう釧路川地図1.5kmの間に右膝が痛み出した。2日前の八ヶ岳登山で痛めたところである。20kgを越える荷物はやはり重すぎたようだ。名鉄でも空港バスでも、荷物料金はタダだったけど、荷物の積みおろしはやっぱり大変。名古屋空港でカメラ(α−707si)をなんとなく確認してみると、なんと、保護フィルタが割れている。バスで荷物を下ろしたときであろうか。ショック。和琴半島までに、代わりのフィルタを購入することが出来るのか、不安になる。それよりも何よりも、カメラ本体は大丈夫だろうか。名古屋空港内で試したところ、オートフォーカスが正常に働いていないような気がする。ヤバイ。
 飛行機は名古屋を飛び立ち、先日登ったばかりの八ヶ岳の上空を飛んでいく。この日も、やはり分厚い雲がかかっていて、山の頂さえも見えない。登山の時にも終日天気が悪く、山の全容を見ていなかったのだ。この山とは縁がなさそうである。
 釧路空港に着き、釧路駅に向かう途中のバスで、新釧路川を横切った。中州でカモメが羽を休めている。ここまで下って来るつもりなのだ。釧路駅到着後、周辺でカメラ屋さんを探すが、フィルタを扱っているところはなかった。残念である。
 この駅には、バッグパッカーが多い。夏の釧路駅におけるバッグパッカー率というのは、日本で1番なのではなかろうか、と思わせるほどである。ライダーのバイクやチャリダーのチャリンコもたくさん止められている。ファルトボート(組立式カヌー)を担いだ人も数人いる。同志が沢山いるようで心強い。
 1時間半電車を待った後、摩周に向けて出発した。車内は標茶まで満席。大きな荷物で場所を占領しているのが申し訳なく思えてくる。ここでも荷物料金は取られず。
 弟子屈の摩周駅で、ノースイーストカヌーセンターの方と落ち合う。ツーリングのスタート地点である屈斜路湖まで車で送ってもらうのだ。途中、コンビニとカメラを扱っている店に立ち寄ってもらう。そして、2件目のカメラ屋にてフィルタをGET!弟子屈の町もなかなか捨てたものじゃない。釧路市街になかったものが手に入るのだから。釧路川の危険個所等の説明を受けつつ、日没後に和琴のキャンプ場に到着。一泊300円
 早速、テントの設営と夕食の準備。そして、和琴半島の付け根にある無料の温泉へ。ライダーだらけであったが、いい感じのところだ。脱衣所は、簡単な屋根があるだけのところで、女性は、水着を着て入浴している。
 時折小雨がぱらつく中、就寝。シュラフを使うかどうするかの思案のしどころ、といった気温で、いい感じ。  

二日目 和琴半島→摩周大橋

釧路川源流部 今日からは、時計を見ないことにしている。時間に縛られず、明るいときに行動し、暗くなれば寝るのだ。だから、何時だか分からないが、朝の散歩に出掛ける。和琴半島一周・40分くらいの行程だ。ところが、100mも行くと、いろいろな虫が寄ってきて、非常に不愉快。散歩は中止にして、カヌーツーリングを開始。艇は3万円のグモテックスジュニアである。防水袋(大)を後ろのデッキにくくりつけ、(小)を船の中に一個と膝の上に一個。そして、自作のスプレーカバー(波よけ)を装着。和琴半島をぐるりと回り込んだら、半島の先端部分に、硫黄?の噴出口があり、周囲の水温も高い。さすが温泉地である。屈斜路湖を漕ぎ始めて二時間くらいで、釧路川との分岐点である胡蝶橋に辿り着いた。ここからは、ムキになって漕ぐ必要がないので、嬉しい。しかし、時間が分からないので、どのくらいのペースで漕げばいいのか、まったく分からない。曇天で、太陽の位置も分からないのだ。気持ちは焦っていた。
 釧路源流部は、川幅10m・時速3kmくらいで流れており、両岸から木々が覆い被さっている様は、この川独特の雰囲気を醸し出している。水質は特上。アオジに混ざって、時折カワセミも飛んでいく。川は右に左に曲がりくねっており、イイ感じ。漕がないでそのまま流れに身を任せたいのだが、時間が分からない不安から、そうのんびりもしていられない。
 本日のハイライトである土壁が近づいてきた。「この土壁の少し手前の左カーブ・本流上に岩があり、この岩のインを通らなければ、倒木に激突し、危険である」と聞いていた。ところが、岩のインに入ろうとすると、浅くて回り込めない。底がつかえて往生しているところに水圧がかかるもので、後ろ向きに流され始めた。岩の外側を通って。しかもパドルは艇の下に入り込もうとしていて無理に引き抜けば、沈は免れられない。倒木が近寄ってくるし、大変なことになった。パドルをゆっくり引き抜き、後はひたすらコーナーのインを目指して上流を向いたまま横への移動。冷や汗モンであったが、なんとかクリア。この100m下流・右岸に岸があり、数人が上陸している。「こいつら、倒木の餌食になったんかな、うひひひ」と思っていると、轟音をたてる大きな倒木が右手にあった。これが土壁。土壁の存在など、すっかり忘れていた私は大いにあわてたのである。左岸に岸があったので、上陸。下見をした。流れの速さを誇示するかのように、赤いカナディアンカヌーが引っかかったままになっている。ちょっとヤバイ。物理的には通れないことはなさそうだが、技術的には無理。倒木を避けられるような流速ではない。ここはカヌーを弟子屈でのキャンプ地担いで、パスすることにした。
 その後は、問題になるようなところはなかった。源流部の倒木は、予想していたほどのテクニカルさはない。ぎこちないながらも、思いのままに曲がれるのであれば、それで十分である。

 この日は弟子屈の摩周大橋下流・左岸にテントを張ることにした。道の駅直下で、トイレやゴミ箱もあり、芝生敷き。対岸にはペンション(温泉のみは300円)とコンビニがあり、キャンプ適地である。本当はキャンプは、摩周大橋上流でしなければならないらしいが、石が多いのだ。   

三日目 摩周大橋→開運橋

 前日まで、防水袋をひとつ、膝の上に載せて漕いでいたが、コクピットが窮屈で、疲れるので、前のデッキにくくりつけることにした。すると、姿勢は楽になったのだが、艇の重心が高く、不安定で、少々心細い。左右のバランスも良くないようだ。
 この日は、スタート地点から、すでに護岸されている。水深の浅い3面護岸の中を漕ぎ続けた。左右のカーブの後、瀬の音がした。これが通称滑り台。ボイジャー450Tに乗ったご夫婦が、この部分のエスケープを試みている。私は、そのまま突っ込んだ。艇が大きく傾いたが、クリア。しかし、スプレーカバー(波よけ)が水圧で剥がれ、水船になったので、上陸して水だし。この下流にある第2の滑り台は、下見をした。今度もスプレーカバーが役立ちそうになかったので、使わずに行くことにした。瀬の下右側は上陸しやすそうなので、そこに艇を着けることにする。この瀬も、波が大きいだけである。予定通り漕ぎ抜けた後、水だしをして、ツーリング続行。護岸も街もこの辺りまで。この後は、釧路川最大の山場である南弟子屈の瀬だ。右岸に上陸し、下見すると、写真で見た瀬の状態よりも、50cm以上増水しているようだ。普通であれば、岩盤が川面にでていて、その裂け目を漕いでいくようなところなのだが、この日は岩盤を波が洗っている。難易度は下がっているような気がするが、土壁と同様にパスした。
 これ以降は、なにもなく、景色を眺める余裕がある。カルガモは、飛ばずに、水上を走って逃げることも出来るようだ。羽はそのままで、尻をぷりぷりぷりぷりさせながら、足をぱたぱたさせて逃げていく。下流へ逃げていくので、しばらく追いかけっこになった。
 開運橋下流の、川の駅・富士で上陸。ここで、履いていたスポーツサンダルのベルトがちぎれた。しょうがないので、艇の補修用ガムテープでベルトを作って履いた。船底も、同様に修理する。南弟子屈をパスする時に破いたようだ。
 摩周大橋でも一緒に泊まった千葉君(仮名)と今日も一緒だ。この川は上陸できるポイントが限られているので、ロングツーリングをする場合には同じ人と一緒になることが多いのだ。千葉君と対岸のコンビニに買い出しに行った。コンビニの隣のスーパーの値札を見てびっくり。ジャガイモ10kg680円・トマト1箱(30個)780円など。販売単位が大きいし、値段も安い。輸送費がかからなければ、野菜の値段なんてこんなものかもしれない。
 夕食後、揃って民宿の温泉(360円)へ。ロングツーリングなのに、毎日温泉に入っている。
 入浴後、ロビーで休んでいると、弟子屈の滑り台をパスしていた横浜さん(仮名)ご夫婦がやってきた。曰く、「今日は2沈脱で、服はビチョビチョ。気力も萎え、途中で上陸。屈斜路湖に車を取りに行っきて、今日はこの民宿に泊まることにした。明日はコインランドリーで洗濯をして、塘路湖に泊まり、次の日に細岡まで行きたい」とのことであった。むむむ・・・
 テントに戻り、その脇で千葉君としゃべっていると、キタキツネ登場。町中の河原にも姿を現すことに感嘆した。
 この千葉君は、今回のツーリングにシュノーケルを持ってきていたが、この水温(18度)では、使う気がしないとのことで、持ってきたことが無駄になったようだ。

四日目 開運橋→塘路湖

満載状態で湿原部 今日の天気予報は、曇り時々雨。日程に余裕があったので、ツーリングは中止して、標茶の残り2カ所の温泉を回ろうと思い、この日細岡まで行く予定の千葉君に別れを告げる。彼と一緒にいたのはわずか1日半であったが、見送るときには涙が出そうになった。旅は人を感傷的にさせるのだろうか。
 テント内で、ラジオを聞きながら、文庫を読んでいると、天気予報は曇りに修正されている。これは一大事とばかり、慌ててツーリングに出掛けた。11時スタートである。出来れば、千葉君に追いつき、再度挨拶を交わしたい。時間が遅くなるといけないので、今日は腕時計を使うことにした。
 今日は何もないコースである。ただただ流れていけばいい。五十石の看板を過ぎた辺りで、中州があり、私は左側を行ったのだが、右側にエゾシカを発見。水を飲みに来ていたのだろう。結構デカい。川を遡り、ゆっくり近づいていくと、耳をクルクル回し始めた。これが警戒のサインであろうか。さらに近づくと、1.5mの土手を「アラヨッ」といったかどうかは定かではないが、とにかく上って逃げていったのであった。野生の鹿を見たことに感動していると、今度は、左側の竹藪に、馬が7頭くらい群れていた。子馬も1頭混ざっている。牧場の馬なのか野生かは判別が出来なかったが。
 どこまで漕いでも同じ景色が続く中を3時間くらい漕ぎ、塘路湖からの流れ込み・阿歴内川まで来た。これを遡って塘路湖に行き、キャンプの予定。ここを遡るのが、一大事であった。釧路川との合流部付近は、川幅が狭く、流れがあって結構辛い。とにかく、川を横切ったり、物陰に隠れたりしながら、ひたすら漕いだ。すると、左手に黒いイタチ大の動物が・・・ミンクじゃ! これがそうか・・・なるほど、いいツヤをしておるわい、と思う余裕もなく漕ぎ続けて20分ほどでなんとか塘路湖に。塘路湖岸には、水草が多く、パドルに絡みつくので、バランスを崩し、ヒヤリとさせられる。パドルのブレードを半分しか挿し入れないようにして、絡みつきを抑える方法を考えついたが、それとて、完璧ではない。風は吹いてるし、この湖は、難易度が高い。
 ここのキャンプ場は最高である。綺麗な芝生が生えそろっており、なだらかな隆起があって、陰影が素晴らしい。トイレは、紙付きだし。唯一の欠点は、風呂がないこと。残念である。
 前日、温泉でお会いした、横浜さんご夫妻が先着していた。食糧事情などを話していると、横浜さんの車で釧路町まで買い出しに行っていただけることになった。横浜さん、有り難うございました m(..)m 横浜さんの車の中で気付いたのだが、彼の手首にバグチェイサーが付けてある。これは手首に巻くだけで害虫を追い払ってくれるという代物である。効果の有無を聞いたら、腕は大丈夫だが、足首からふくらはぎにかけては、かなり虫にやられているとのこと。これでも、バグチェイサーが無いよりはましなのだろう、と思い込むようにしているとのことであった。実は、私自身も同じ状態で、効果に疑問を持っていたのだ。足首に巻き付けることも検討したのだが、それには長さが足りず、2個継ぎ足す必要があるので、仕方なく手首に巻いていたのだ。一方、千葉君は、虫除け薬を塗っていたが、やはり私達と同じく、足を集中的に刺されていたようだ。で、その千葉君には、やはり遭えずじまい。残念である。

五日目 塘路湖

 日程に余裕がありそうなのと、風が強い等の事情により、ここで連泊する事にした。ここから徒歩でサルボ展望台に行ったり、遊歩道を歩いたり、湖畔のエコミュージアムを観たりした。湿原の生い立ちや周囲の自然に関する展示・映画が無料で見ることが出来るのだ。博物館で3時間も粘ったのははじめて。台湾の故宮博物館に次ぐ記録だ。故宮はただ広いだけであったが、こちらは興味深かった。
 それにしても、風呂に入りたいものだ。

六日目 塘路湖→釧路

  細岡→釧路(のろっこ号) 440円

 前日にも増して風が強い。下手すりゃぁ、風沈するかもしれない。でも、日程的にはギリギリなので、出発。今日の予定区間は、カヌーツアーが組まれることが多い区間で、初心者でも安全なはずのところである。でも、風が強いので沈に備えて湖岸、つまり水草地帯を恐る恐る進む。やがて、阿歴内川を通り、釧路川へ。湿原部であり、川の両岸はジャングルという感じ。木が邪魔で、湿原を川から目にすることは不可能だ。絶えず野鳥の鳴き声がしているので、完全な静寂を求める展望台からの湿原風景ことは無理。風が強いのは相変わらずである。そしてこの日は「低温注意報」が発令されている。細岡に到着した正午の気温はわずか15℃であった。寒さで震えながらラーメンを沸かして食べ、その後細岡展望台まで歩いてみる。流石に、大観望といわれるだけのことはあって、見事! 見渡す限りの湿原が、目前に広がっているのだ。
 さて、今日はここ細岡に泊まりたいのだが、カヌーの回収をしていた地元の人に聞くと、「ここでテントを張っているのは見たことがない」との冷たいお言葉。 ・・・困ってしまった。この下流の岩保木水門に行けば、テントを張っている人もいるらしいのだが、そこは、陸上とのアクセスが取れない。体調不良・天候不良等で漕げなかった場合とかは、身動きがとれくなる可能性がある。明日の天候は、「曇り一時雨・風はやや強い」 明日は15時10分釧路発の飛行機で帰らなければならないのだ。事前に分かっていたことであるが、細岡から一気に釧路市を目指すには時間的に不安である。大いに悩んだが、ここでツーリングは中止。河口まで漕ぐことは諦めることにした。実は、この艇で河口まで行けば、艇長の短さ(250cm)という点で、前人未踏の快挙になるのではないかと思い、達成したかったのだが・・・
 「のろっこ号」という日本一遅い電車(湿原風景を楽しむための観光用電車で、料金は通常の料金)で釧路まで戻り、観光案内所で安宿を紹介してもらった。ホテルに向かう途中で、すんげー美人のバッグパッカーを見かけた。かなりのハイレベル。世の中にはいるものである。
 素泊まり3800円のパークホテルに泊まった。3日振りの風呂・6日振りの布団である。やはり気持ちいい。虫のいない室内というものは、かくも快適なものかと驚いた。  

七日目 釧路→岐阜

  釧路→釧路空港(バス) 910円
  釧路空港→名古屋空港(航空機) 31000
  名古屋空港→一宮(バス) 800?円
  一宮→笠松(名鉄) 290円

 10時前にホテルをチェックアウトして、釧路ステーションデパート?で土産を購入。早めにバスで空港に向かった。車窓越しの新釧路川が恨めしい。カヌーで下ってきたかった。あとで思えば、細岡での泊まりは、「駅舎」という手もなきにしもあらずであった。そうすれば、寝過ごすこともなかっただろうから、河口近くまで漕ぐことが出来たかも知れない・・・
 サンダルはガムテープで応急処置したままの状態であったが、咎められることなく飛行機に乗り込むことが出来た (^^ゞ
 名古屋空港に着き、バスと電車を乗り継ぎ、帰宅。


 期間中、見事に曇天続きであった。お陰で、アブに出会うことは殆どなかったのだが(気温が低いとアブは死んでしまうらしい)、星は一度も臨むことができなかった。
 釧路川全体を通して言えることは、上陸可能地点がきわめて少なく、昼食ポイントを探すことが困難なこと。上陸を禁じられていない区間であっても、地面はグチョグチョのネッチョネチョで、腰を下ろせないところが多い。沈してしまうと、艇内の水を出そうにも足場が悪くて苦労する、という話も聞いたことがある。・・・ろくに休憩もとれないので、同じ姿勢を強いられる小さなフネでは、苦しい。
 一度は経験してみたかった聖地・釧路川であったが、河口まで通して下るという目標が伴わないのであれば、もう一度行くことはないだろう。

 ツーリングで一緒になった千葉君には、パソコンを買ったらニフティサーブのゴン(私のハンドル名)を探すのだ、といっておいたのですが、8ヶ月後、千葉君から電子メールが届いたのです。「ゴンさんって、あのときのゴンさんでしょうか」と。すごく感激しました。パソコンの凄さも再認識。
 翌年のゴールデンウィークに再会し、千葉君の友人の方も含め、3人で長良川を漕いだのでした。

(おわり)