高梁川カヌーツーリング

たかはしがわ 岡山県新見市〜高梁市
流域内人口密度 102人/平方キロ (高梁川水系)
リアルタイム水量 高梁
駐車場 START 幸田地区の河原に駐車可。
井倉洞の駐車場は観光客専用であり、我々は駐車できない。
絹掛の滝
広石 道路脇に5台
方谷(ほうこく)駅 駅前広場が狭く、車を放置しづらい。河原へも下りられない。
トイレ 井倉洞駐車場
絹掛の滝
買い出し 井倉の商店街
絹掛の滝にコンビニ
温泉 付近にはなし?
ひとこと 瀬と風景が楽しめる。鮎釣りは盛ん。
初心者ツアーを高梁川で実施するところもあるが、その場合の区間は滝か広石までとし、アンダーカット部分は避けた方が賢明。

2001/4/8

井倉〜方谷 12.4km 3.1‰
 今回は初めての岡山での川下り。地元兵庫には、ツーリングに適した川が無いので、この川を気に入れば、いい練習場になる、との期待を込めたツーリングだった。
 前日の7日の昼に家を出て、移動。途中小森温泉に寄る。旧池田藩営の300年近い歴史を持つところで、循環湯じゃないのが気持ちいい。温度違いの2つの浴槽があった。520円でシャンプーなし。ここで他のお客さんに、「車にカヌー積んでたのはお宅かね?」と話しかけられ、しばらく話すうちに、高梁川では午後になると30cmほど水量が増えるとの情報を得た。ダムを開けるらしいのだ。日中だけということは、水力発電の発電量を増やすためだろうか? やっぱり地元の方と話すことは重要である。

小魚くわえたカワセミ 20時頃高梁川に着き、どこだかよく分からないままに、河原にテントを張り、就寝。近くに電車が走っていて、その音で22時過ぎまでは睡眠を妨げられた。
 翌朝。テントから抜け出し、紅茶を沸かして一息ついていると、カワセミが飛来。傍らの双眼鏡でしばらく観察した。電線にとまっているカワセミの姿は、どこかスズメとダブって見え、滑稽だ。飛び立つ気配がなさそうなので、車に戻ってカメラを準備し、撮影。すると、水中にダイブし、小魚をくわえて岩の上に留まった。その姿は、どこか誇らしげであった。電車はうるさかったけど、このキャンプサイトは正解であった。
 さて、この川は3週間前に下見を済ませていたので、スタート地点とゴール地点は、ほぼ決めてあった。井倉洞の上流から方谷駅までだ。注意ポイントを道路から眺めながら、それらを再確認し、ツーリング区間を再度確認した。方谷駅前の河原に、折り畳み自転車を放置し、車でスタート地点に向かう。スタート地点は、井倉洞の3km上流とした。途中にコンビニが見あたらず(ホントは一件あったけど、見逃した)、食料調達に失敗。前日に買ってあったカップ麺と朝食用のパンが全てである。
 前回加古川を下ったときには、ツーリングに鍋と水とバーナーは持って出たけど、肝心のラーメンを持っていくのを忘れ、食べられなかったので、今回はラーメンを忘れずにチェックし、9時半スタート。
 川には結構洗剤が浮いていて、透明度も1.5mくらいであり、残念ながら期待ほどではない。井倉洞の手前には、採石場があり、ガチャガチャとうるさく、ここまでの区間は雰囲気もまるでない。
洞窟 井倉洞を過ぎてすぐのところにカヌーでくぐれる洞窟がある。ツーリングガイドでもよく紹介されているポイントだ。海ではこのような箇所は比較的多いのだが、川では初めて。なかなかいい感じ。
 この日は曇天ということもあり、セミドライトップを着てのツーリングであったが、まもなく日が差してきて暑くなってきた。晴れの方が気分はいいのだが、セミドライを着ていると日光が辛い。

大きな岩肌 線路と橋をくぐると、右岸側に大きな岩肌がそそり立つ。う〜む。なかなか。鳥の巣穴らしきものを見つけ、ヤマセミを探したが、やっぱり簡単には出会えるものではなさそうだ。

 朝食を食べていないこともあり、11時であるが、食事を取ることにした。ツーリング区間の1/3辺りのところで、右岸から小川が流れ込んでおり、その合流地点がいい雰囲気の河原となっていたので、ここに上陸。パンを食べ、いよいよラーメンの準備に・・・と思うと、鍋を忘れたことに気が付いた。 おー、まいがーっ! 河原で食べるラーメンというのは、ツーリングにおける私の最大の楽しみの一つである。それなのに、2回連続で準備不足とは。ふたを開けてもらえなかったとんこつ塩ラーメンが寂しそうにしていた。
岩だらけ パンだけでは空腹は完全には満たせなかったが、ツーリング再開。高梁川は基本的にのんびりツーリングの初級者向けの川なのだが、ここから先は、高梁川にしては少々難しい箇所に遭遇することになる。小さな瀬をいくつか越えていくと、川の中に岩がゴロゴロ転がっている区間にさしかかった。数百メートルの間、とにかく岩だらけなのだ。水深がありそうなところを早めに見極め、艇が横を向くことがないよう、素早い方向転換が要求される。この岩の出口は、50cmの落ち込みになっているが、たぶん、沈することはないだろう。
 線路をくぐると、そこは、国道から下見をして、「ポーテージ?」と私が地図に書き込んだところだ。そんなことを忘れて、なんとかいけそう、と判断し、中央突破。すこし艇を傾けられたが、成功。
 お次は、瀬の出口で落ち込んだあと右へ急カーブするもので、左岸はアンダーカットになっており、本流はその下を流れている。アンダーカットとは、水流によって岩の下部がえぐり取られた部分を指し、ここをカヌーで通過するには、パドルを使うだけの空間がなく、ましてや沈してそこに引っかかろうものなら、死の危険もある、というものだ。瀬の手前に中州があって、そこを左に行けば、アンダーカットへ一名様ご案内、ということになりそうな気配だ。迷わず右岸寄りのチキンルートを選択した。しかし、こちらも波は高く、しっかりパドリングしなければ、沈しそうであった。
 さらにもう一発。今度は左岸に流れが集まって落ち込む箇所がある。ただ、ここは直線なので、うりゃうりゃうりゃ、と頑張ってパドリングし、乗り切った。ここが最後の瀬と言っても差し支えないだろう。残り2kmは、のんびりと鼻歌なんぞを唄いながら下り、ゴールした。
 12.4kmを、4時間で、うち休憩は1時間。ポーテージ一回で、釣り人は2人であった。
 午後からはダム放水による水量の増加が見込めるので、ポーテージも回避できたかも知れないが、昼からは向かい風が吹くので、瀞場が辛くなる。水量が少ないのと向かい風では、どっちがいいのだろうか・・・!?

2001/11/4

 今回はSANOさんに同行していただいた。SANOさんは前日に、同じ岡山県内の旭川で、スラロームの大会に参加してきたそうだ。だから腕前はかなりのもの(のはず)。
 今回は、春に来た時よりも水量は多い。なんでも、岡山では10月としては観測史上最多の降水量を記録したとかで、その影響であろう。前回漕いだ後半の瀬が、ちょっとイヤな感じになっているので、そこまでの区間を漕ぐことにした。スタートをもっと上流からにすることも検討したのだが、ざら瀬が多いようだったため、前回と一緒。増水気味でもあまり上の方を漕ぐことができないのは、ちょっと寂しい。

 井倉洞までは、なかなかいい景色である。採石場付近では、がっちゃんがっちゃん、という音が気になるが、それには目をつぶろう。井倉洞の前を、観光客の視線を感じながら通過したら、左側が洞窟ポイント。洞窟内では折れた竹が通せんぼしていたので、SANOさんがそれを洞窟から引きずり出し、河原まで運んでいった。JRの鉄橋をくぐると、正面の断崖には大きくえぐられたアンダーカット。カヤックに乗ったまま入っていけそうなほどである。大増水になれば、ここに流れが直撃するのであろうが、平水時は瀞場に近い状態なので、アンダーカット探検ができる(落石があっても知らないよ)。

 この1kmほど先の左岸に、絹掛けの滝が臨める。前夜、移動途中にこの滝に立ち寄ったが、ライトアップされ、幻想的であった。それに、これほど品のある滝は見たことがない。私のイチオシである。

 寒さに震えながら昼食をすませ、ゴールを目指す。この日のゴール前には、区間最大の瀬がある。道路から見たときにはそれほど複雑な印象は受けなかったが、実際に漕いでみると、瀬に長さがあり、横からの波も組み合わさっていて、なかなかの迫力であった。
 広石の辺りでゴール。ここから階段を上がって、路側に停めた車に向かった。

 今回私が高梁川から受けた印象は、この川には「絶景」か「味気ない護岸」しかない、ということと、いい水質は望めそうにない、ということ。

 はじめて高梁川を漕いだSANOさんの印象は、適度に瀬があっていい川だね、というもの。満足して頂けたようで、よかったのだ。

 帰りに湯郷温泉の「鷺温泉」に立ち寄った。露天風呂だけでも5個の浴槽があり、かなり気に入った。600円は安い。往路には、同じく湯郷温泉の花の湯(?)に入ったのだが、こちらはかなり見劣りする。500円。たったの100円差なら、絶対に鷺温泉で決まり!
(おわり)